先端設備等導入計画と経営力向上計画 (共通点・違い・比較表)
★先端設備等導入計画の便利なページは → こちら
【 速報 平成30年7月1日 】
札幌市、旭川市、小樽市、高崎市、佐倉市、東久留米市、横浜市、岡谷市、飯田市、新潟市、福井市、御殿場市、豊橋市、彦根市、京都市、大阪市、東大阪市、神戸市、広島市、尾道市、北九州市、長崎市などが、先端設備等導入計画の認定申請の受付を開始しました。
名古屋市秋田市、山口市、倉敷市などでも間もなく開始されそうです。
経営力向上計画すなわち経営力を向上させる計画とは、平たくいえば従業員1人あたりの稼ぐ力(経営力)を向上させるための計画です。
経営力とは、経営資源の量・質と、その経営資源を企業が上手に活用する力とみることもできます。
原則として国が示した基本方針や事業別指針に沿った取組みで、経営力を向上させようというものです。
根拠法は、中小企業等経営強化法です。
先端設備等導入計画とは、先端の設備の導入によって、企業の生産性を向上させるための計画です。
根拠法は、生産性向上特別措置法です。
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経営力向上計画と先端設備等導入計画の共通点・相違点・比較
【共通点】
ともに、ものづくり補助金における加点項目とされています。
ただし、「先端設備」と「経営力」は、別個の加点項目とされました。つまり、「先端設備」と「経営力」は加算的に加点が狙えるということです。
代表的な数値目標の指標として、ともに労働生産性が採用されています。計算式・計算方法も共通です。
【相違点】
ものづくり補助金では、経営力向上計画は加点項目のみでしたが、先端設備等導入計画では、一般型の補助率アップ項目とされました。
経営力向上計画は、概ね3年間で労働生産性を1%以上向上させることが目標とされます。
一方の「先端計画」では労働生産性を年平均3%以上向上させることが要件となるようですので、経営力向上計画よりもかなり高い目標設定が求められています。
ハードルが高い分、固定資産税を減免させる措置などのメリットも厚めに設定されるようです。
固定資産税に関しては課税標準を、3年間 ゼロ~1/2に軽減するということです。
先端設備等導入計画の認定取得のメリットとして、優先採択となる補助金が、経営力向上計画よりも充実しています。
なお、先端設備等導入計画の認定申請を行う場合には、認定支援機関の確認書が必要です。経営力向上計画では不要です。
共通点や相違点をまとめると、次の比較表のようになります。

経営力向上計画と先端設備等導入計画の比較表(PDFファイル)
※スマホ表示では、下記表がうまく表示されないため、PDFファイルでも作成しました。
経営力向上計画 | 先端設備等導入計画 | |
---|---|---|
根拠法 | 中小企業等経営強化法 | 生産性向上特別措置法(時限立法) |
認定を与える主体 | 国が管轄 | 市町村 |
認定される対象者 | 「経営力向上計画策定の手引き」参照 | 「先端設備等導入計画等の概要について」参照 |
参照すべき文書 | 国が示す基本方針または事業分野別指針 ※ローカルベンチマークの活用が推奨 |
国が定める導入促進指針 市町村が定める導入促進基本計画 |
主な申請書 | 様式第1:経営力向上計画に係る認定申請書 別紙:経営力向上計画 |
先端設備等導入計画に係る認定申請書 別紙:先端設備等導入計画 |
主な記載事項 | 法人番号 従業員数 事業分野(日本標準産業分類) 実施時期 現状認識 経営力向上の目標・指標 経営力向上の内容(実施事項) 必要な資金の額・調達方法 経営力向上設備等の種類 証明書等の文書番号 |
※経営力向上計画の記載事項とよく似ています 先端設備等の種類及び導入時期 先端設備等の導入の内容 必要な資金の額・調達方法 ほか →詳しくは、こちらをご参照下さい。 |
計画期間 | 3年、4年、5年のいずれか | 同左 |
共同申請 | 可能 | 可能 |
認定取得のメリット | 補助金の優先採択 税制措置 金融支援(低利融資・信用保証) ほか |
補助金の優先採択・補助率アップ 税制措置(固定資産税の減免) 金融支援(信用保証) |
補助金の優遇措置 | ものづくり補助金:加点 小規模事業者持続化補助金 :加点 事業承継補助金:加点 |
ものづくり補助金:加点・補助率アップ サポイン補助金:加点 小規模事業者持続化補助金:加点 IT導入補助金:加点 ※IT導入補助金は、「固定資産税のゼロ」の市町村であれば加点される(先端設備等導入計画の認定は不要) |
加点の点数 | 公式には「非公開」 |
同左 |
労働生産性の目標値 | 1%以上向上(3年計画の場合) | 年率3%以上向上(3年・4年・5年計画) 例:3年計画ならば9%以上の伸び |
労働生産性の計算式 | 労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量 (労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間) | 同左 |
固定資産税の軽減率 | 1/2(国が一律に規定) | ゼロ~1/2 (市町村が定める) ※ほとんどの市町村で、ゼロを採用見通し |
固定資産税の特例期間(期限) | 平成31年3月31日まで | 平成30年度~平成32年度(2021年3月31日まで) |
固定資産税の特例の対象者・対象設備 | 「税制措置・金融支援活用の手引き」参照 | 「先端設備等導入計画 策定の手引き」参照 |
工業会証明書 (固定資産税の特例) |
固定資産税の特例を利用するなら必要 認定取得のための必要書類ではない |
同左 経営力向上計画の証明書と、先端設備等導入計画の証明書は共通の様式になるとのこと |
設備の取得日・計画の認定日 | 原則として、設備の取得日より、計画の認定日の方が早いこと(例外措置あり) | 設備の取得日より、計画の認定日の方が早いこと(例外は認められません) |
固定資産税の特例以外の税制措置 | 中小企業等経営強化税制 法人税(個人事業主の場合は所得税)について、即時償却または取得価額の10%の税額控除が選択適用可能 事業承継促進税制(平成30年度税制改正で追加予定) |
対象外。ただし、固定資産税の軽減措置を先端設備等導入計画で活用しても、左記の経営力向上計画の制度も併用できるとのこと(その場合には経営力向上計画の認定取得も必要)。 |
中小企業等経営強化税制の対象者 |
青色申告をしている法人(資本金1億円以下)および個人事業主 |
- |
設備の類型 (中小企業等経営強化税制) |
A類型(生産性向上設備) B類型(収益力強化設備) |
-(先端設備等導入計画では、左記のB類型相当は無し) |
期間(中小企業等経営強化税制) | (A類型・B類型ともに) 平成31年3月31日までに新規取得し、指定事業の用に供した設備 |
- |
工業会証明書(中小企業等経営強化税制) | 生産性向上設備 (A類型)を取得する経営力向上計画を申請する際には取得する | -(工業会証明書は固定資産税の特例を利用する場合には必要) |
経済産業局の確認書 (中小企業等経営強化税制) |
収益力強化設備(B類型)を取得する経営力向上計画を申請する際には取得する | - |
金融支援 | 低利融資、信用保証等 | 信用保証 |
認定支援機関確認書 | 不要 | 必要 (事前確認を受ける必要がある) 代表者印がない確認書は要件不備(無効)になると予想されます |
認定支援機関の関与 | 作成支援を行った場合には、チェックシートに名称等を記載(任意) | 認定支援機関の確認書が必要 |
認定日 | 認定通知書に記載されている | 同左と思われます |
認定取得までの所要時間(期間) | 約1ケ月(審査期間が1ケ月弱程度) 標準処理期間:30日 |
国からは、市町村による審査の標準処理期間の案を30日で提示しているとのこと。 広島市の場合、書類等に不備等がなければ、概ね2週間程度で認定書を発行するとのこと。 |
申請書作成の難易度 | 容易(計画書は2ページ程度) | 容易(計画書は3ページ程度) |
認定取得の難易度 | 容易(制度全容はかなり複雑です) 訂正・修正が認められる場合あり |
容易そう |
計画の実施報告義務 | 緩い(一部あり) | 市町村の規定による |
認定の取消し | 法的には可能(国の制度運用次第) | 法的には可能(市町村の制度運用次第) ※目標値が達成されないということだけで取り消されることはないということです。 |
入手可能書面 様式・書式類 申請方法・申請手続き 手引き・説明書 (ダウンロード可) |
申請書様式類・変更申請書 工業会等による証明書について 経済産業局による確認書について 事業分野と提出先 経営力向上計画策定の手引き 税制措置・金融支援活用の手引き 申請書記載例(記入例) チェックシート 実施状況報告書(変更申請用) 投資計画実施状況報告書(B類型様式) 認定状況・認定企業一覧 認定事例集 中小企業等経営強化法の概要 チラシ(PR資料) ほか |
各種の様式(フォーマット) 先端設備等導入計画策定の手引き 生産性向上特別措置法案に基づく「先端設備等導入計画」等の概要について 中小企業の設備投資を支援します!(PR資料) 生産性向上特別措置法案の閣議決定 アンケート結果 中小企業施策利用ガイドブック ほか |
書類提供Webサイト (中小企業庁) |
経営サポート 「経営強化法による支援」 |
経営サポート 「生産性向上特別措置法案による支援」 |
申請書の提出先・郵送先・申請先 受付窓口 |
各経済産業局等(関東経済産業局、近畿経済産業局等、中部経済産業局、九州経済産業局、中国経済産業局 等) | 市町村(東京、大阪市、名古屋市、京都市、神戸市、横浜市、さいたま市、千葉市、広島市、福岡市、北九州市、札幌市、仙台市 等) |
よくある質問 (Q&A FAQ) |
中小企業経営強化税制、固定資産税特例に関するQ&A集 経営力向上計画に関するQ&A集 |
導入促進基本計画に関するQ&Aが公開 |
書き方・記載例 申請マニュアル的なもの (当社Webページ) |
「経営力向上計画・ものづくり補助金」 ※製造業の記載例を解説しています |
「先端設備等導入計画の申請書の書き方や記載例」 ※適宜更新・拡充 |
作成支援・申請支援 (当社サービス) |
実施中 ※主に金融機関と連携したサービス |
実施中(作成支援・申請支援、セミナー等) ※主に金融機関と連携したサービス |
※上の表では、簡便さを優先させており、各種注記事項は割愛しています。詳細は別途ご確認下さい。
IT導入補助金では、生産性向上特別措置法に基づく特例措置に関して、固定資産税の特例率をゼロとする意向を表明した自治体に所属していることだけで、加点が得られるということです。
つまり、先端設備等導入計画の認定がなくても加点されるということです。
小規模事業者持続化補助金で経営力向上計画の認定が加点項目とされるためには、平成30年2月28日までに認定を受けていることが条件となります。
事業承継補助金では、応募申請時に有効な期間の経営力向上計画の認定が加点項目とされました。
経営力向上計画の申請書の書き方、記載例・記入例(サンプル・見本)などについては、当社Webサイトで紹介しています。
先端設備等導入計画の申請書の様式案や書き方・記載例などの情報も公表されました。
「策定の手引き」が公表されました。」
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先端設備等導入計画と経営力向上計画の併用
先端設備等導入計画と経営力向上計画は、併用することができます。
例えば、固定資産税の軽減措置を先端設備等導入計画の制度で活用し、その他の税制措置を経営力向上計画の制度で活用することは可能です。
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工業会証明書は、先端設備等導入計画と経営力向上計画で共通に

先端設備等導入計画における工業会証明書と、経営力向上計画(中小企業等経営強化法)の経営力向上設備等に係る証明書とは共通の証明書とされました。
新様式の書面の名称は、「 中小企業等経営強化法の経営力向上設備等及び生産性向上特別措置法の先端設備等に係る生産性向上要件証明書 」 です。
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経営力向上計画における固定資産税の特例
経営力向上計画における固定資産税の特例の制度は、次のようなものです。
①中小事業者等が、②適用期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、③一定の設備を新規取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。
②の「適用期間(適用期限)」は、平成31年3月31日までとされています。
多くの自治体・市町村で、「先端計画」の特例措置が利用できるようになりますので、節税対策としては、今後は多くの方は、経営力向上計画ではなく、先端設備等導入計画の制度を活用されるのではないかと予想します。
※税制措置・金融支援活用の手引き(中小企業庁)
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中小企業庁からの情報提供
中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定状況について
・認定企業一覧(更新:平成30年5月31日) ほか
※ものづくり補助金と、サポイン補助金の採択結果の発表がありました。
※「経営力向上計画策定の手引き 」が、平成30年6月1日に改訂されています。
※「先端設備等導入計画策定の手引き」が平成30年6月18日に公表されました。
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