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新Webサイトについて

知財経営研究社の、経営支援事業専用のWebサイトを開設しました。
中小企業やベンチャー企業の経営力向上支援知的財産産学連携ローカルベンチマーク金融仲介機能のベンチマークなどに関する情報やサービスなどについて発信して参ります。
また、関連する公的支援策(補助金・助成金等)についてもご案内いたします。

知財経営研究社

2017年03月27日

知財金融シンポジウム

 去る3月3日(金曜日)に、特許庁と金融庁が主催の「知財金融シンポジウム」が開催されました。
 知財金融とは何か?、知財を切り口とした中小企業の事業性評価とはどのようなことか? といったことがテーマでした。

 特許庁では、「中小企業知財金融促進事業」を推進しています。これは、中小企業の知財を活用したビジネス全体を評価する「知財ビジネス評価書」を地域金融機関に提供し、金融機関における取引先企業やその事業の評価の一助として活用してもらうことを目的とした事業です。

 一方、金融庁は、昨年9月に「金融仲介機能のベンチマーク」を公表し、地域金融機関の事業性評価融資を後押ししています。

 私は率直に申し上げて、「知財ビジネス評価書」を地域金融機関が活用することのハードルはとても高いと思っています。

 国側には、知的財産については金融機関に評価できる目利き人材が不足しているため、知的財産を活用したビジネスが正当に評価されずに、そうしたビジネスに資金が提供されないという問題意識があるのは分かるところです。

 しかしながら、実際には個々のケースを見る必要があります。

 「銀行はウチがいくらいい特許を取得してもお金を貸してくれない」という旨の経営者の方の主張をそのまま受け止めるのは少し短絡的かも知れません。

 そうした企業が有する特許が、本当に事業に資するものでしょうか? 

 知財を有する企業やその事業に資金が供給されないのは、果たして金融機関の知財の切り口での目利き能力やそうした能力を有する人材が不足することが主要因でしょうか? 

 特に中小企業においては、知財を活かすも殺すも経営者次第であったりします。金融機関の方は、経営者の資質についてはよく見ていることが多いというのが私の印象です。

 そして何より、お金になる知財かどうかの目利きを金融機関の方に求めることは酷なような気がします。こうした「目利き」は、知的財産の専門家でも極めて難しいのです。
 
 例えば私の経験したところでは、次のようなことがありました。

 ①「ビジネスモデル特許」を取得したのにライセンス先が見つからないと相談に来られた中小企業の方の特許の請求項を精査したところ、他人が容易に回避できる特許だということが分かりました。

 ②「当社は特許●●の専用実施権者である」と書かれた事業計画書の評価を依頼され、特許庁から特許登録原簿の謄本を入手して確認したところ、虚偽でした。後日、その事業計画書の企業の経営者に接触したところ、知財に関してはほぼ無知という有様でした。もちろん「専用実施権」という言葉も理解しておられませんでした。

 ③ある企業が新商品開発を行い、ユニークな商品アイデアを特許化しました。しかしながらその新商品自体が、自社の特許も使う一方で他人の特許を侵害するような実施形態のものでした。

 ・・・ネガティブなものの例ばかりでしたが、まだほかにもあります。
 このような事象を、金融機関自身で「目利き」して見抜くことは現実的ではないと思います。

 また、金融機関の方は異動が多く、企業の知財担当者のように長年に渡って知財と向き合う人材がいることは稀です(大手は別ですが)。

 取引先の事業とじっくりと向き合う機会や時間が少なければ、事業性評価の目利き力を高めるにも不都合でしょう。

 特に、特許が功を奏するにはタイムラグがあります。少なくとも数年は関わらなければ特許の金銭的価値を実感できることは少ないでしょう。利益は上がっても、それが特許に起因したものであるかどうかは実感できないことが多いと思います。

 私がよく中小企業の方にお伝えしていることですが、人的資源に制約が大きい中小企業であれば自社にいきなり知財の専門人材を育成しようとするのではなく、まずは外部の知財専門家と何とか意思疎通のできるレベルの人材を育てることをお勧めしています。

 金融庁の「金融仲介機能のベンチマーク」では、外部の専門家を活用することが指標として挙げられています。
 このため地域金融機関でも、自行庫にそうした人材を育成してはどうかと思います。

 しかし異動が多ければうまく機能しないかも知れません。その場合には、「知財」の切り口での目利きは捨てて、事業性評価や経営者の資質の適切な評価ができる人材の育成に徹するのがいいかも知れません。

 なお、仮に外部の専門機関を利用して「知財ビジネス評価書」を作成したとしても、それを活用して最終的な融資判断を行うのは金融機関自身です。
 「知財ビジネス評価書」を金融機関自身で、どこまで妥当性を評価できるでしょうか。

 私の事業の屋号は「知財経営研究社」ですが、知財にフォーカスし過ぎると本来の経営をよくするという目的から逸れてしまいます。
 このため、知財関連でご相談を受けた際にも、まずは経営状況全般からお話を伺うことにしています。
 すると、優先すべき課題が知財関係ではないこと分かる(それをご相談に来られた経営者の方も実は認識しておられる)ということが少なくありません。

 「中小企業知財金融促進事業」の支援制度を機会に、地域金融機関が知財ビジネス評価を体験してみるのであれば、公的な資金を投入して行われる支援が終わったときに自行庫に何を残せるのか、それをどうすれば活用し続けることができるのかを事前によく検討しておかれるのがいいと思います。

 現実的には、すでに優良な企業であることや有望な事業であることが客観的に確認できる案件について、「知財ビジネス評価書」が追認するような運用がされるのではないでしょうか。
 

2017年3月31日公表
 「知財ビジネス評価書」を活用した融資の取組みについて ~ 武蔵野銀行 第1号案件 ~
 武蔵オプティカルシステム株式会社と融資契約を締結

知財経営研究社
 

2017年03月04日

コラムが更新されました

Vol.18 よいネーミングと商標登録(後編) 平成29年4月28日

中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集 」のコラム(運営:トレードショーオーガナイザーズ株式会社)が更新されました。

 第18回目となる今回は、「よいネーミングと商標登録」の後編です。

 よいネーミングは、それだけでも広告効果を発揮します。

 

Vol.17 よいネーミングと商標登録(前編) 平成29年3月31日

中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集 」のコラム(運営:トレードショーオーガナイザーズ株式会社)が更新されました。

 知財経営研究社代表による執筆ですが、一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG)の企画部長という立場で投稿したものです。

 今回で第17回目になります。テーマは、「よいネーミングと商標登録(前編)」です。

 本コラムは住宅産業向けのものですので、住宅ビジネスに関する商標登録や商標権の基礎知識や、業界動向をお伝えしました。

 商標登録を語る上で、PPAPの話は外せませんが、私の事業領域である経営コンサルティングの関連でも、「ランチェスター戦略」、「ブルー・オーシャン戦略」、「コトづくり」などが登録商標となっています。

知財経営研究社

2017年04月29日

大成プラス(株)の連載記事

2017年5月号 大成プラス(株)様の知的財産戦略 (後編)


 この連載の2回目が掲載された、月刊誌「プラスチックス」(日本工業出版)の5月号が届きました。

 今回は大成プラス様の知的財産戦略の後編です。

 技術としましては、やはりNMT(ナノモールディングテクノロジー)にスポットを当てています。

 次回にて、標準化戦略、ISO国際標準規格への取り組みもご紹介します。

 詳しくはこちら(大成プラス様の取材記事の連載)をご覧ください。


大成プラス様の取材記事

知財経営研究社

 

2017年05月08日

地域産学バリュープログラム

 JSTの「地域産学バリュープログラム」の平成29年度の公募が始まりました。

 これは文字通り、産学連携活動に活用できる補助金です。
 企業の競争力強化に資するべく、企業ニーズの解決等のため、大学等を対象に大学シーズを活用した試験研究等を支援するものです。

 企業が有している技術のレベルアップを図るというよりも、大学のシーズを活用するものですのでご注意ください。

 申請者も、大学等の研究者によるものとなっています。

 この「地域産学バリュープログラム」は、かつての「マッチングプランナープログラム」です。

 名前は変わりましたが、マッチングプランナーによるアドバイスなどにより研究開発の最適化を図るという仕組みは維持されています。

 私にも、本件に関する共同研究チームへの参画のお声がけを頂いております。

 募集期間は、平成29年5月31日(水)の正午までです。

知財経営研究社

2017年04月02日

産学連携の補助金・助成金

ものづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業 (経産省)

 ものづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業補助金が始まりました。

 「産学連携活動に利用可能な補助金・助成金をご紹介するページ」に追加しました。

 応募締め切りは、6月9日です。

 大学等を含む、共同事業体を構成して行うものですので、準備や実施・管理能力がある方々であることが、申請者要件として求められるでしょう。

知財経営研究社


今年のサポイン事業が始まりました!

 今年のサポイン事業の公募が始まりました。
 公募期間は、平成29年4月14日(金)~平成29年6月8日(木) です。


お知らせ

 新年度入りし、補助金・助成金等の公募も活発化しています。

 産学連携活動に利用可能な補助金・助成金をご紹介するページ を作成しました。

 経産省やJST、NEDOのほか、東京都などの補助金・助成金もご紹介します。

 産学連携に取り組んでおられる方は、是非ご覧ください。
 
 ここの情報は適宜更新致します。

知財経営研究社

2017年05月02日

金融仲介機能のベンチマーク

 金融仲介機能のベンチマークについてのWebページを充実させています。

 金融機関による公表が増えておりますので、このページは適宜、情報を更新しています。

 3月末から4月初旬にかけて、愛知銀行、福島銀行などが公表先として加わりました。

 4月15日に、福岡中央銀行を追加しました。

 公表した銀行・信用金庫につきましては、こちらをご覧下さい

 なお、私(知財経営研究社 代表)が企画部長を務めております、一般社団法人城西コンサルタントグループのメンバーと、金融仲介機能のベンチマークに関する金融機関向けのサービスの提供について検討を進めております。

 リンク先のページコンテンツは、適宜、更新しています。

 是非、ご覧ください。

2017年04月16日

知的財産権の補助金・助成金

創業・事業承継補助金 (平成29年4月29日)

 創業・事業承継補助金 の公募が、まもなく開始されます。

 創業補助金、事業承継補助金ともに、知的財産権等関連経費が補助対象となります。

 「知的財産権の補助金・助成金のWebページ」に追記しました。


知財経営研究社
 

先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業費補助金 (平成29年4月29日)

 先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業費補助金(経産省)が始まります。

 数少ない、コンテンツ系の補助金です。
 特許出願関連費用等が、補助対象となります。

 「知的財産権の補助金・助成金のWebページ」に追記しました。


知財経営研究社
 

知的財産権の補助金・助成金のWebページ (平成29年4月4日)

 知的財産権の補助金・助成金のWebページを作成しました。

 補助金・助成金に限らず、知的財産に関する支援策全般についてもご紹介しています。


 新年度入りしましたので、セミナー情報なども含め、適宜、情報を更新します。


知財経営研究社
 

2017年04月29日

創業補助金と事業承継補助金

 本ページでは、主に事業承継補助金に重点を置いてご紹介しております。
 公募期間は、郵送申請の場合は平成29年6月2日まで、 電子申請 の場合は6月3日までです。
 
 → 創業・事業承継補助金事務局ホームページ

 知財経営研究社では、本補助金の活用を、「金融仲介機能のベンチマーク」対策の1つと位置づける金融機関(東京都・埼玉県・神奈川県)の方からのご相談を承っております。
 時期的に、今回の公募に関するご相談の受付は終了させて頂いております。

一般社団法人 城西コンサルタントグループ(JCG)
 本補助金に関しましては、私(知財経営研究社 代表)が企画部長を務めております、一般社団法人 城西コンサルタントグループ(JCG)の会員として対応させて頂くものになります。
 次回以降の公募に関しまして、JCGとして、金融機関の方に対して本補助金に関するセミナーや相談会等もご提案させて頂きます。


事業承継補助金とは

 


 平成29年5月8日に、「創業・事業承継補助金」(経産省/ 中小企業庁)の公募が始まりました。

 公募期間は、郵送申請(書面申請)の場合は6月2日まで、電子申請の場合は6月3日までです。

 5月19日より、電子申請の案内が始まりました。

  中小企業庁から、事業承継補助金についての概要が公表されていました。
 
 平成29年度予算案に示された、「創業・事業承継支援事業」(11.0億円)です。
 昨年度は、「創業・第二創業促進補助金」がありました。

 この補助金は、創業や事業承継に要する経費の一部を補助することにより、創業や事業承継を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的としています。

 創業の促進と経営者の高齢化等の課題を抱える中小企業の事業承継を促進することで、地域経済を活性化させようというものです。

 創業補助金では、人権費、起業・創業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費、店舗等借入費 、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、外注費、委託費、その他経費が補助対象経費です。

 事業承継補助金では、本補助事業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費、店舗等借入費、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、在庫処分費、解体費及び処分費、原状回復費、委託費が補助対象経費です。

 このように、知的財産権等関連経費も補助対象とされています。

 気になるのが、補助金額や補助率ですね。

 創業補助金の場合、補助上限は200万円です。ただし外部資金調達の確約がない場合100万円です。
 補助率は、1/2です。

 事業承継補助金については、やや複雑です。
 事業承継(事業再生を伴うものを含む)を契機として、①経営革新等に取 り組む中小企業、②事業転換に挑戦する中小企業に対し、設備投資・販路 拡大・既存事業の廃業等に必要な経費が補助対象となります。
 補助上限は、①の場合には200万 円、②の場合は500万円です。
 補助率は、2/3です。

創業・事業承継補助金事務局ホームページ

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 事業期間は、原則、平成30年3月末までと想定されているようです。

 応募期間は当初は平成29年4月末までを想定していたようです。5月上旬から公募が始まれば、5月末頃が締め切りとなるかも知れません。
 募集が始まれば、説明会やセミナー等も行われることでしょう。


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手続きの流れは、次のようなものです。


 正式な公募が始まる前の概要説明では、申請者( 中小企業等)と、認定支援機関との関係性については、次のように規定されています。

 ①認定支援機関は、事業者から相談を受けた事業について、承継後の新たな取組の新規性や実現可能性を確認し、その後の一貫した支援の実施に同意するものとする。

 ②事業者は当該確認書(創業・事業承継補助金に係る認定経営革新等支援機関による確認書)を事務局に提出しなければならない。


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◆事業承継補助金の「後継者」の要件


 個人的には、この規定はもう少し、緩くてもよかったのにと思います。
 公募要領で、どのような規定ぶりになるか、確認したいと思います。

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事業承継補助金は、冊子でも紹介されています



 事業承継補助金は、 中小企業庁の「会社を未来につなげる 10年先の会社を考えよう」という冊子にも紹介されています。


 従いまして、暫くの間は継続して公募される補助金となる可能性があります。

 政府が、継続的な支援策にすることを明言すれば、今回の公募では間に合わなくても、次回の公募に向けた準備を始めようというインセンティブになると思います。
 特に、事業承継補助金ではそうしてもらえるといいと思います。

 なお、東京都には、「 創業助成金 」があります。

 横浜市には、「 事業承継・M&A支援事業助成金」があります。

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小規模事業者持続化補助金でも事業承継を後押し

 平成28年度補正予算の「小規模事業者持続化補助金」の追加公募では、代表者が60歳以上の場合は「事業承継診断票」の提出が求められ、後継者候補が中心となって取り組む事業について重点的に支援するという規定が追加されました。

 つまり、小規模事業者の事業承継を後押しするものとなっています。

 暫くは、様々な事業承継関連の施策が登場することでしょう。


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金融仲介機能のベンチマークとも関連のある補助金です

 創業・事業承継補助金は、「 金融仲介機能のベンチマーク 」への取り組みにも、関連性の高い補助金です。
 政府は、金融仲介機能のベンチマークを通じて、金融機関による事業承継の支援を求めています。


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ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク

知財経営研究社

2017年05月22日

FinTechビジョン の公開

FinTechビジョン(フィンテックビジョン)とは

 経済産業省は、「FinTechビジョン」を作成・公表しました。

 FinTechビジョンとは、FinTech(フィンテック)が経済社会に与えるインパクトや課題、今後の政策の方向性等に関する報告や提言をとりまとめたものです。

 フィンテック(FinTech)とは?
 FinTechとは、Finance(金融)と、Technology(技術)を掛け合わせた言葉です。

 金融機関には、技術革新の波が押し寄せています。
 IoT(Internet of Things)、ブロックチェーン、ビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨、クラウド会計、スマホ決済、人工知能(AI)を活用した金融商品の取引など、このフィンテックと呼ばれる技術が、金融機関の経営に大きなインパクトを及ぼすことは間違いありません。
 すでに電子マネーが私たちの生活に浸透していますが、ここ1、2年のフィンテック(FinTech)の動きは、まさに加速度的です。

 経産省では、昨年(2016年)の7月より「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」を開催してきたそうです。

 そこでの議論の成果物として、この「FinTechビジョン」が取りまとめられました。


行政機関の果たす役割

 例えば金融行政を監督する金融庁は、今後はますます、経産省をはじめとする他の行政機関と連携して技術動向に対応していかなければ、監督局としての役割を担うことが難しくなってきました。

 これまでは、 事業性評価ローカルベンチマーク・金融仲介機能のベンチマーク などという要素で、経産省と金融庁の接点がありました。
 今後はそのようなレベルの連携では済まされないでしょう。

 今後は各行政機関がますます密に連携して、我が国の金融サービスの国際競争力を高めるための制度設計を行って頂くことを期待します。

 平成29年5月9日の日経新聞(Web)では、”日銀総裁「銀行はイノベーション取り入れるべき」”という見出しを付けた記事を掲載し、日銀が、我が国の銀行がFinTechなどのイノベーションにによる経営環境の変化に積極的に向き合うべきであるという考えを示したことが紹介されました。


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そのフィンテック、知財紛争への備えは、大丈夫ですか?

 知的財産の関係者の間では、IoT、ビッグデータ、AIの時代における知的財産制度のあり方が大きな関心事となっています。

 データの所有権を巡る議論もますます活発化してくることでしょう。

 今回のFinTechビジョン(フィンテックビジョン)には、一般論というようなレベルですが、データの所有権についても触れられています。
 知的財産に関しては、ほとんど言及がありません。
 
 「オープン&クローズ戦略」の考えに照らせば、このFinTechビジョンは、「オープン」にした情報です。
 したたかに、そして戦略的にオープンにしたものであって欲しいと思います。
 知財の世界では、「こうするとこういう課題にぶつかる」ということに最も早く気づいた者が、その領域で強い特許を取得できることが少なくありません。
 課題についても、うかつにオープンにすべきではないことがあります。
 FinTechビジョンには知的財産対策に関する記述がないのは、意図的なものであればいいと思います。
 そして「クローズ」の領域では、我が国の関係者がはるか先の備えを行っていることを願いたいものです。

 恐らくは、今は他人(特に外国勢)の特許を侵害することになるとも知らずに、開発費と労力を注ぎ込んでいるベンチャー企業がたくさんあることでしょう。

 後ろ盾となる大きな企業が、あるいはシンクタンクの役割を担う機関や企業が、早い段階でそうしたベンチャー企業にコミットすることが必要かも知れません。

 個人的には、FinTechの技術領域は、将来は特許紛争の熾烈な激戦区になると予想します。

 我が国におけるフィンテック関連技術の特許出願状況を特許庁のデータベースでざっと見てみました。
 ブロックチェーンや仮想通貨といったキーワードでヒットする特許出願が急速に増えてきている感があります。
 中国や、韓国系の出願人による出願も散見される状況です。

 なお、以前はそうでもなかったのですが、昨今は日本での特許出願状況を見ているだけでは、世界の特許出願状況は分からなくなりました。
 外国の出願人が、米国や中国では出願していても、日本では出願しないというケースが増えてきているためです。

 フィンテックに関しては、基本特許のようなものは日本でも出願されるでしょうが、周辺特許は、米国などの状況をしっかりと見ていかなければ、特許状況は把握できません。
 フィンテックに関してグローバルでのビジネス展開をお考えの方は、特に注意が必要です。

 中小企業やベンチャー企業に対しては、様々な知財支援策が提供されています。
(詳しくはこちらのページをご覧ください)

 例えば、「中小企業等特許情報分析活用支援事業」があります。
 これは、中小企業にとって費用負担が大きい先行技術文献等の特許情報分析支援を通じ、中小企業等の研究開発戦略の策定、オープン・クローズ戦略等を含む出願戦略の策定及び権利取得可能性判断を包括的に支援するというものです。

 中小企業やベンチャー企業の方は、こうした制度を上手に活用されるといいでしょう。

※いずれ、FinTech市場(フィンテック市場規模など)の調査レポートや、フィンテック関連技術の特許情報サービスなどを提供する事業者が現れると思います。

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国際標準化を視野に

 いまさら国際標準化の重要性については、省略します。
 FinTechビジョンには、国際標準化に関しては言及があります。

 国際標準化に関しては、政府はすぐに「オールジャパン体制」で、と言いたがります。

 しかしそうした既存の考えは、グローバル規模のオープン・イノベーションの時代にはそぐわないかも知れません。
 国内調整をしている間に、世界から置き去りにされてしまう恐れがあります。

 是非とも、将来国際標準を勝ち取る企業グループにおいて、我が国の企業の方々が先導的な役割を担い、収益の果実を手にして頂きたいものです。

 FinTechの開発を進める各企業において、技術の目利き(技術予測)、オープン&クローズ戦略を含む知財戦略、国際標準化戦略、ビジネスモデル構築論、オープン・イノベーションによる研究開発を総合的に指南できる参謀役または参謀チームが存在する(またはそれにアクセスできる)といいのですが。
(FinTechに関しては、私には到底、その役割は務まりませんが・・・)

 企業の皆様には、「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」を含む、国主導の諮問機関にも振り回されることなく、うまく使いこなして頂きたいと思います。

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金融業界のビジネスエコシステムが変わる

 先日(4月下旬)、メガバンクに勤務する知人と食事をする機会があり、フィンテックに関しても話題となりました。
 知人いわく、金融業界のビジネスエコシステムが大きく変わるであろうことのインパクトの大きさが読み切れず、不安があるということでした。

 メガバンクの1つである、みずほ銀行は、積極的にフィンテックへの備えをしている様子です。
 みずほ銀行は、「FinTechと<みずほ>」というフィンテック専用のWebサイトを立ち上げて、その取り組みについて情報発信しています。
 そのWebサイトでもコメントされていますが、まさに オープン・イノベーションへの取り組みです。

 すでにメガバンクどうしによる、ビジネスエコシステムの変化への対応競争が始まっています。

 国内外のフィンテック関連ベンチャーが続々と名乗りをあげています。そして、それらを取り込もうと、金融やITの大手企業がチャンスを伺っています。

 数年後には、聞いたことがないような企業が、金融業界を席巻しているかも知れません。
 
 しかし今後は恐らく、フィンテック関連の産業にも様々な規制が課されることでしょう。

 業界ルールやプレイヤーの急激な変化は、既存プレーヤーの利益を脅かすだけでなく、一般市民や社会へ与える不安要素があります。もちろん、犯罪の恐れもあります。
 行政としては、これを無視するわけにはいきません。

 そうした規制が、既存の金融業界の利益の維持を優先することになれば、我が国のフィンテック関連産業は、結局は海外勢が席巻するものとなってしまうのかも知れません。

※5月12日の日経新聞(Web)に次のような記事がありました。歓迎したいと思います。
 「フィンテックなど新事業育成へ規制一時凍結 政府が試行期間」

 私の知人にはフィンテック関連のベンチャー企業を立ち上げた方もおられます。
 テレマティクス保険の開発に関わっている方もおられます。
 是非、大きく花を咲かせて欲しいと思います。


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関連リンク(FinTech・フィンテック)

 FinTechビジョン(FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合 報告)
 FinTechビジョン概要(補足資料)


 産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(経産省)
 FinTech検討会合 報告書

 フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議(金融庁)
 フィンテックに関する現状と 金融庁における取組み(金融庁)

 FinTechセンター(日本銀行)
 FinTechフォーラム(日本銀行)

 一般社団法人フィンテック協会


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ローカルベンチマークと金融仲介機能のベンチマーク

知財経営研究社

2017年05月18日